大日本印刷が製造工程での二酸化炭素(CO2)の輩出を抑えた宅配伝票を開発し、切り替えを進めている。国土交通省によると、インターネット通販の急成長に伴い、宅配便取扱個数は令和4年度に初めて50億個を突破。これに比例して荷物に貼り付ける伝票の数量も増加している。増加は今後も続くことが見込まれることから、環境配慮型に変更することにした。
具体的には伝票裏面の離紙をCO2排出要因の一つとなっている有機溶剤を使わないものに変えた。離紙は伝票の粘着面を保護するときに使うもので、紙にコーティング剤を塗ってつくる。宅配伝票には欠かせない。
従来の製造では、コーティング剤を紙に塗りやすくするため有機溶剤で溶かして使っていた。健康を害する恐れもある有機溶剤は揮発性が高いのが特徴。このため、揮発した有機溶剤を回収して燃焼処理する工程が必要で、その際にCO2が排出されていた。
そこで有機溶剤を使わずにコーティング剤を紙に塗れる独自の手法を確立。これにより、燃焼処理する工程を不要にした。大日本印刷では、新たに開発した環境配慮型の宅配伝票を普及させ、7年時点で年間700トン以上のCO2排出量の削減を見込む。スギの木約5万本が1年間に吸収するCO2の量に相当する。
また、宅配伝票は複数の紙を貼り合わせてつくるため、反りやゆがみが発生しやすい。材料構成や工程を工夫することで、従来の有機溶剤を使った宅配伝票と同等の品質を実現しているという。
同社情報コミュニケーション製造統括本部の青山祐子さんは「現在は限定的な取り組みにとどまっているが、今後、自社で製造する大半のラベル伝票を環境配慮型に切り替えていく」と話している。